Stockholm City Hall

ストックホルム市庁舎の塔

夢の北欧を初めて訪れてから3年。コペンハーゲン・カストラップ空港を経由して、SASの機内から初めて見た森と湖の国スウェーデン。初めて言葉を交わし、KEXのチョコレートをくれたブロンドの少女。中央駅を出て、ヴァーサ橋から初めて見たストックホルムの街並み。どこまでも澄んだ空気と、湖のきらめき。
あれから3年に月日が経とうとも、昨日のことのようによみがえってくる旅の記憶。一生に一度の旅……そう、自分に言い聞かせて訪れた北欧。
でも、本当はあのとき、わかっていたのです。また、ここに来ることを。また、スウェーデンを旅することを。

3年ぶりの旅のつづき。
世界でいちばん美しい古都。ストックホルムへ、もう一度。

2013 Photo & Text_Scandinavian fika.

Stockholm City Hall

ストックホルム市庁舎へ

初めて北欧を訪れた2010年のストックホルムの旅は、これまでのどんな旅よりも自分にとって特別なもので、夢中で駆け巡っていたら、あっという間に時間が過ぎてゆきました。だから、行きたくても行けなかった場所がたくさんあります。その1つが、ストックホルム市庁舎〈Stadshuset〉。旧市街ガムラ・スタン〈Gamla Stan〉と並ぶ、「これぞ、ストックホルム!」というべき観光名所です。
ストックホルム中央駅〈Stockholm Central〉から徒歩10分。橋を渡るとすぐに、クングスホルメン島〈Kungsholmen〉 にそびえる赤レンガ造りの市庁舎が見えてきます。ナショナル・ロマンティシズム建築の傑作としても知られる市庁舎には、イタリアのピアッツァをモデルにした市民の中庭と、ストックホルムのシンボルともいえる高さ106mの展望塔があります。
新しいスウェーデンの旅では、市庁舎の塔からの眺めを、どうしてもこの目に焼きつけたかったのです。

ノーベル賞の晩餐会

ノーベル賞の晩餐会が行われることでも有名なストックホルム市庁舎。青の間〈ブルーホール〉と呼ばれる大広間では、毎年アルフレッド・ノーベルの命日(12月10日)にノーベル賞受賞祝賀晩餐会が開かれます。
(※ノーベル賞の授賞式が行われるのはヒョートリエット広場〈Hötorget〉のコンサートホール〈Konserthuset〉) 
壁を青く塗る予定だった「青の間」は、赤レンガがあまりに美しかったため、結局赤いまま残したのだとか。100万個の赤レンガの壁面は凸凹になっていて、光と音が柔らかく反射・反響するように設計されているそうです。
2階には3週間に1度開かれる市議会の会議場があります。ヴァイキング・ ルネッサンス様式でつくられた、ヴァイキング船の船底を逆さにしたような面白い天井を見ることができます。
市庁舎の中はガイドツアー(英語)でのみ見学できます。所要時間は約45分。夏の間は展望塔にも登れます。

The Golden Hall - ©︎Stockholm City Hall

黄金の間

市庁舎の二階には、1900万枚の金箔のモザイクで飾られた黄金の間があります。黄金の間の上座には「メーラレン湖の女王」の壁画が描かれていて、女王の右手には西洋をあらわすニューヨークやパリの街並み、左手には東洋をあらわすエキゾチックな絵が描かれています。ガラスの間に溶かし入れた金箔は、永遠に輝きが失われることはないのだとか。黄金に輝くこのホールで、ノーベル賞受賞祝賀会のダンスパーティーが開かれるそうです。

市庁舎の地下には、ノーベル賞晩餐会ディナーを味わえるレストラン、スタッズヒュース・シェラレン〈Stadshuskällaren〉があります。2日前までに予約すれば、1901年から前年までの好きなメニューを賞味できるのだとか!ただ、やっぱり高い。ノーベルディナーは1450SEKから……ちょっと手が出ません。お店の雰囲気を楽しみたいなら、ランチもおすすめ!

市庁舎の塔

水の都ストックホルムを一望できる、高さ106mの展望塔。いつも観光客で混み合うと聞いていたので、スタートの9:15より早く到着して、塔の入口に一番乗り!展望塔へは途中までエレベーターで上がり、そこから狭い階段を上っていくため、一度に登れる定員は30名までと決められています。所要時間は上り10分、下り10分。頂上で景色を堪能する時間は15〜20分くらい。
オンタイムで入口の扉が開くと、一番乗りで足早に駆け込もうとする私を制するようにスタッフから衝撃的な一言が……
「エレベーターは使えません」
「……え!?」
聞くと、この日は点検中で階段を歩いて最上階まで上がるしかないとのこと!
「制限時間は40分です」と追い打ちをかけてきます……試練です。荷物、こんなに持ってこなけりゃよかった。もちろん、疲れた体にムチ打って、膝ガクガクで階段を登ったのは言うまでもありません!塔の中にはいろんな彫刻が飾られてありましたが、刻一刻と迫るタイムリミットのせいで、ゆっくり見ることができませんでした……。
展望塔に登るなら、くれぐれも荷物は最小限に!そして、スニーカー履いていこう!
(※市庁舎のガイドツアーと、展望塔の見学は受付と時間が違います。塔のみの見学は40SEK。9:15より40分おきの出発)

リッダーフィヨルド

スウェーデンで3番目に大きいメーラレン湖〈Mälaren〉はバルト海へとつながっていて、最東部の湾はストックホルム中心部を流れるリッダーフィヨルド〈Riddarfjarden〉と呼ばれています。
106mの展望塔の階段を一段づつ上り、どんなに息が上がっても、ストックホルムでいちばん高いこの塔からの景色を目にしたら、疲れなんてどこかへ吹っ飛んでしまいます。360度の絶景の大パノラマ。リッダーフィヨルドに浮かぶ小さな島々で形づくられたストックホルムの美しさ。少しだけモヤがかかったスウェーデンの古都は、どこか幻想的で、リッダーホルメン島にそびえるリッダーホルム教会〈Riddarholmskyrkan〉やスターズホルメン島のガムラ・スタンの街並みが、水の都の美しさを際立たせています。

どうしても、もう一度訪れたかったストックホルム。北欧の中でも特に思い入れの強いスウェーデンは、北欧の美しさと、シンプルに生きる素晴らしさを教えてくれた国でもあります。
見るもの、感じるものすべてが、ここではモヤに浮かぶ街並みのようにはっきりと胸に映るのです。

ダーラへスト

市庁舎の入口には、メーラレン湖を望むダーラヘスト〈Dalahäst〉の石像が。ダーラヘストとはダーラナ地方の伝統工芸品で、日本ではダーラナホースとしても紹介される木彫りの馬のこと。「幸せをもたらす馬」として世界中の人びとから愛されています。
2013年のスウェーデンの旅は、スウェーデン人の「心のふるさと」ダーラナ〈Dalarna〉をめぐる旅でもあるのです。澄んだ湖と、森と、赤い家。どうしてこんなにもスウェーデンに魅かれるのか。北欧が好きになったのか。その原点を見つけに、旅はストックホルムからダーラナへとつづきます。

Stockholm City Hall

Stockholm|Sweden

ストックホルム市庁舎

アクセス
ストックホルム中央駅〈Stockholm Central Station〉
から徒歩約10分。

Stockholm City Hall
cityhall.stockholm

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www.visitstockholm.com

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