Akateeminen Kirjakauppa

アカデミア書店と
カフェ・アアルト

ヘルシンキのポホヨイ・エスプラナーディ通り。ストックマン・デパートの向かいにあるフィンランド最大の本屋さん、アカデミア書店〈Akateeminen Kirjakauppa〉。2階の一角には、この書店を設計したフィンランドの巨匠 アルヴァ・アアルト〈Alvar Aalto〉の名がついたカフェ・アアルト〈Cafe Aalto〉があります。
天井のクリスタル・スカイライト、入口のブロンズのハンドル、ゴールデンベルのペンダントライト。アアルトがデザインしたプロダクトの一つ一つが、この書店を特別なものにしています。

2013 Photo & Text_Scandinavian fika.

Akateeminen Kirjakauppa

アカデミア書店

20世紀を代表するモダニズム建築家アルヴァ・アアルト〈Alvar Aalto〉が、1969年に設計したアカデミア書店〈Akateeminen Kirjakauppa〉。この国内最大の書店は、エスプラナーディ通りの老舗デパート ストックマン〈Stockmann〉のとなりにあり、アアルトの建築めぐりのスタートとして最適な場所。
店内は白い大理石の壁で覆われ、回廊式になっていて三層吹き抜けの開放的な空間。天井には、彫刻のようなクリスタル・スカイライトが並んでいます。本をひらいたようなユニークな形をした天窓。そこから降り注ぐ、柔らかな自然の光。冬の日照時間が短いフィンランドで、暮らしに少しでもあかりをとり入れるために、アアルトは光そのものをデザインしているのです。
各フロアのコーナーを見ると、天井は波のようにゆるやかなカーブを描き、正面入口の扉には波が重なり合ったようなブロンズ製のハンドルがついています。
ヘルシンキの中でもアカデミア書店が特別なのは、本と人とを結ぶ空間を、アアルトの光と波があたたかく包んでいるから。

Cafe Aalto

カフェ・アアルト

本が大好きな人なら、きっと北欧の洋書に魅かれることでしょう。特にインテリアやデザインの本は装丁もおしゃれだし、内容はわからなくても写真集のようにペラペラめくって、部屋の本棚に飾っておくだけでも絵になります。でも本って重たいし、結構高いし……悩みますねえ。ちなみに自分は「アアルトの本をどうして買わなかったんだろう」と後悔しまくりです。
アカデミア書店の2階には、アアルトの名前がついた世界でひとつだけのカフェ、カフェ・アアルト〈Cafe Aalto〉があります。小さいお店ですが、大理石のテーブルやブラックのレザーチェア、ゴールデンベル〈Golden Bell〉のペンダントライトもすべてアアルトがデザインしたもの。映画『かもめ食堂』で、サチエ(小林聡美)さんがミドリ(片桐はいり)さんと出会って、「ガッチャマンの歌」を歌ったカフェとして有名です。
カフェ・アアルトではコーヒーといっしょにキッシュや季節のタルトがおすすめ。ほうれん草とチーズのキッシュが美味しかった!
地下1階はステーショナリーコーナーになっているので、文房具好きなら要チェックです!

ヤコブセンのアリンコチェア

ラウタタロ〈Rautatalo〉というアアルト設計のオフィスビルが建てられたのは1950年代のこと。その中にヘルシンキの人びとから愛される小さなカフェがありました。ところがその後、ラウタタロが経営難が陥り、倒産したことで、カフェも惜しまれつつ閉店。残ったアアルトデザインのインテリアはすべて競売にかけられました。それを買い取ったのがストックマン・デパートです。
そして1986年、アカデミア書店に新しいカフェがオープン。みんながずっと待ち望んでいた「カフェ・アアルト」の誕生です。ゴールデンベルをはじめとするアアルトのインテリアは、ストックマンからアアルト財団に寄付され、もう一度、アアルトのカフェに帰ってきました。

興味深いのは、カフェ・アアルトにアルネ・ヤコブセンのアントチェアが使われているところ。なぜアントなのか?理由を聞いても今はもうわからないのだとか。このデンマークとフィンランドの巨匠のコラボレーションがたまらなくて、自分もアントチェアとスツール60を部屋に並べて使っています。
「アリンコの背中が人懐っこくて、とにかくかわいかったから」
愛される理由とは、案外、そんなものかもしれません。

Alvar Aalto

1898-1976|Finland
©︎ Alvar Aalto Museum

アカデミア書店

アクセス
エスプラナーディ通り〈Esplanadi〉沿いの
ストックマン〈Stockmann〉デパートの向かい。
アカデミア書店の2Fに
カフェ・アアルト〈Cafe Aalto〉

Akateeminen Kirjakauppa
www.akateeminen.com

Finlandia-talo

フィンランディアホール

アルヴァ・アアルト
晩年の代表作


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