Ystad

スカンジナビア半島の
いちばん南の町 イースタ

スコーネ・イースタの旅

南スウェーデン・スコーネ地方〈Skåne〉。西のマルメ〈Malmö〉からスコーネ鉄道〈Skånetrafiken〉の紫色の電車 ポーガトーグに揺られ東へ70km。 スカンジナビア半島のいちばん南に位置する港町、イースタ〈Ystad〉へ。
1658年までデンマーク領だったスコーネ地方。かつてのデンマーク時代の面影が残るイースタの街並み。 赤レンガの修道院にハーブやバラが咲くイースタは、スカンジナビア最大の映画スタジオを持つ、アーティストが集う美しい海の町でした。

2019 Photo & Text_Scandinavian fika.

Ystad

スコーネ

南スウェーデン・スコーネ地方〈Skåne〉。スカンジナビア半島の南部に位置するスコーネ(スコーネ県)のことは、日本で手に入るガイドブックにはほとんど紹介されていない。
スウェーデン第三の都市 マルメ〈Malmö〉や、スウェーデンの古都 ルンド〈Lund〉のことは知っていたけれど、マルメもルンドもスコーネの西の街。もっと南にどんな町があるのか、東にどんな砂浜があるのか、想像したこともなかった。
大きな山がないスウェーデン南部のスコーネには、のどかな穀物畑や牧草地が広がっています。春には緑の平原が一面、菜の花畑の黄色に染まるそう。青空と、菜の花の黄色い絨毯。その美しいコントラストは、スウェーデン国旗のようにも見えます。
バルト海に面した港町にはビーチもあり、南部の温暖な気候のスコーネには芸術家も多く暮らし、インスピレーションを受けて創作活動をしているそう。
あの陶芸家のリサ・ラーソン〈Lisa Larson〉もスコーネに別荘とアトリエを持っています。

西のマルメ中央駅〈Malmö C〉からスコーネ鉄道〈Skånetrafiken〉(スコーネ トラフィーケン)の紫色の電車 ポーガトーグ〈Pgatågen〉に乗って東へ50分。 スウェーデンのいちばん南の海の町、イースタ〈Ystad〉へ向かいます。

(※日本では「Ystad/イースタッド」の地名で紹介されているものもありますが、スコーネの人に聞いたら「d」はあまり発音しないそう。ここでは「イースタ」でご紹介させていただきます。イースタは、スウェーデンの最南端の町ではありませんが、スカンジナビア半島のいちばん南に位置する町です)

Pgatågen | Skånetrafiken

スウェーデンのいちばん南の町

スコーネ鉄道〈Skånetrafiken〉(スコーネ トラフィーケン)は電車がよく遅れると聞いていたので、マルメからポーガトーグの乗車した後もひやひや。
この紫色の電車はスコーネの西のマルメから、いちばん東の港町シムリスハムン〈Simrishamn〉まで走っています。旅の通過点としか思っていなかった2つの町、イースタ〈Ystad〉とシムリスハムン〈Simrishamn〉 ですが、どちらも海のある観光地として、スウェーデンで人気の町なのだとか。
スコーネの平らな野原や麦畑が、車窓を流れてゆきます。
電車は大きな遅れもなく、予定時刻の11時にイースタの駅に到着しました。

小さな駅のホームに降りると、南スウェーデンの旅のコーディネートをしてくださったスコーネ在住のメーリン(Melin)美佐緒さんがお出迎えしてくださいました!日本人観光ガイドのメーリンさんは、イースタの近くの町でスウェーデン人の旦那さんやご家族と長く暮らしてらして、スコーネの魅力や歴史をたくさん教えていただきました。

イースタ修道院

1658年にスウェーデンになるまで、デンマーク領だったスコーネ。かつてのデンマーク時代の風情が残るイースタの中世の街並みは、どこを切りとっても絵になる。
旧市街の石畳の小径に建ち並ぶ赤やパステルカラーの家々は、木造の骨組みとレンガで石積みした木骨造りの建築。石壁に十字の梁が見られるのは、スコーネ地方で見られる独特の建築様式だとか。
日差しは強くても、日陰に入るとひんやり涼しい、6月中旬の南スウェーデン。中世の建物の軒先には赤やピンクのバラが咲いていて素敵。
美しいバラの風景は、同じ南スウェーデン・ゴットランド島〈Gotland〉のヴィスビー〈Visby〉の街並みにどこか似ています。
ショップやレストランが建ち並ぶ旧市街のメイン通りや、聖マリア教会〈Sankta Maria Kyrka〉を抜けて、北の修道院へ。

12世紀半ばに建てられた イースタ修道院〈Klostret i Ystad〉は、スウェーデン最古の修道院。赤レンガ造りのゴシック様式の建築で、スコーネ地方の文化遺産のひとつです。切妻屋根のイースタ修道院と修道院教会のまわりには、美しいバラ園やハーブ園が広がっています。
池のある東の修道院は博物館になっていて、イースタで活躍するアーティストの作品が展示されていました。小さなミュージアムショップもあって、イースタで創作された手工芸品やガラス、陶器などを見ることができます。
赤レンガの修道院に咲く、バラがきれいだった。春には牡丹の花も咲くそう。北の園はハーブの香りでいっぱい。

刑事ヴァランダー

イースタはスカンジナビア最大の映画スタジオ 、イースタスタジオ〈Ystad Studio〉がある「映画の街」。海と平原、中世の街並み、美しいイースタのロケーションを活かした数多くのヨーロッパ映画がここで製作されてきました。映画のロケ地めぐりもイースタの魅力のひとつ。観光客向けのイースタスタジオのビジターセンター〈Ystad Studios Visitor Center〉で映画の歴史やアーカイブ映像、セットや小道具や衣装も見学できるそう。

そして、イースタといえば、忘れてはならいのが『刑事ヴァランダー』!!
北欧ミステリー界の巨匠ヘニング・マンケル〈Henning Georg Mankell〉原作の大人気のBBCドラマシリーズ『刑事ヴァランダー』〈Wallander〉は、イースタを舞台に撮影された作品(テレビドラマですが、映像美は映画のクオリティー)
ケネス・ブラナー演じる主人公ヴァランダー刑事は、故郷のイースタ署の警部。人間味溢れるヴァランダーに心を掴まれた世界中のファンが、イースタの町にやってきて、ロケ地を聖地巡礼!              
ヴァランダーのカフェ(Wallander's Cafe)と呼ばれる駅前の 〈Fridolfs Konditori〉は、いつも人気みたい。

Åbergs Trädgård & Café

農園カフェでランチ

イースタの駅から車で少し走って、メーリンさんおすすめのお店でランチ。イースタの農園カフェ 〈Åbergs Trädgård & Café〉に連れてきてもらいました!
小さなローゼンダールガーデンカフェ〈Rosendals Trädgård〉のような素敵なカフェ。緑の庭園があり、プランツショップには野菜やハーブ、ブドウやベリーの苗木、鉢植えの観葉植物などが並んでいました。
オーガニックガーデンで育てた食材を使った、焼きたてのキノコと野菜のパイ(キッシュ)がすっごく美味しかった! スイーツは、旬のイチゴのクランブルにひかれます。

ドラカモラン へ

おいしいランチを食べたあとは、いよいよスコーネの旅の目的地、ドラカモランへ出発します。
イースタから北東へ車で40分。南スウェーデンの絶景のひとつ、ブローサープの丘〈The Hills of Brosarp〉を越えて、自然保護区の中にある特別な宿 ドラカモラン〈DRAKAMÖLLAN〉へ!

地平線のような緑の平原。
数週間前、このあたりは一面菜の花畑だったそう。
いつか、菜の花の黄色い絨毯を見たいな。春にまた、スコーネに来よう。



(ガイドブックに載っていないスコーネ地方の観光は、電車やバスではなく、車がベストです。でも、わたしは海外でレンタカーの運転は不安だったので、メーリンさんのWEBサイトを見つけられて本当によかった! スコーネの旅の目的地、ドラカモラン〈DRAKAMÖLLAN〉の宿の手配から送迎、イースタとルンドの町の観光ガイド、ストックホルムまでの列車のチケットの手配など、いろいろ助けていただきました。 本当にありがとうございました。Tack så mycket!! )

Ystad

Skåne|Sweden

イースタ

アクセス
マルメ〈Malmö C〉駅から
スコーネ鉄道に乗って東へ50分。
イースタ〈Ystad〉駅で下車。

www.ystad.se

Malmö

オーレスン海峡を渡って
マルメ へ

南スウェーデン・スコーネの旅


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