Carl Larsson-gården

カール・ラーションの家

ダーラナ・ファールンの旅

ダーラナ地方 ファールン〈Falun〉の小さな村 スンドボーン〈Sundborn〉。そこに、スウェーデンの人びとが愛する国民的画家カール・ラーションの家があります。 ラーション夫妻がつくった家、リッラ・ヒュットネース〈Lilla Hyttnäs〉は現在 カール・ラーション・ゴーデン〈Carl Larsson-gården〉記念館になっていて、 ガイドツアーで家の中を見学できます。
カール・ラーションの画集 『わたしの家』にも描かれたリッラ・ヒュットネースの家の中は、 楽しくて可愛いくて絵の中に暮らしているよう。

2019 Photo & Text_Scandinavian fika.

Carl Larsson-gården

わたしの家

スウェーデンの世界遺産の銅山の街 ファールン〈Falun〉駅から20km。スウェーデンの原風景が残る小さな村スンドボーン〈Sundborn〉に、スウェーデンを代表する水彩画家 カール・ラーション〈Carl Larsson〉の家はあります。
カール・ラーションは、家族をテーマに、日々の暮らしを描いたスウェーデン画家。 1899年に出版されたカール・ラーションの初の画集 『わたしの家』は、たちまち人びとの心を奪い、画集に描かれた夢のような家は、スウェーデン人の暮らしのお手本になったといわれています。

Carl Larsson|©︎ Carl Larsson-gården
Carl Larsson|©︎ Carl Larsson-gården

リッラ・ヒュットネース

スンドボーン〈Sundborn〉村で、 ダーラナ地方の伝統的な家を譲り受けたカール・ラーションと妻のカーリン・ラーション〈Karin Larsson〉。「岬の小さな精錬小屋」という意味のリッラ・ヒュットネース〈Lilla Hyttnäs〉をセルフリノベーションして、美しい理想の家へと改装していきました。

ラーション夫妻は、17〜18世紀のスウェーデンのアンティーク家具や家を、ダーラナ地方伝統のファールレッドの赤や緑の原色で装飾。リッラ・ヒュットネースはまるでキャンバスのように、自由に絵を描きはじめました。
食堂のステンドグラスにはカールが描いた夫妻ふたりの肖像。子供部屋には子供たち一人一人の肖像画。手芸が得意だった妻のカーリンは色鮮やかなクッションやタペストリーやラグを作り、椅子やベッドなどもデザインして飾りました。

妻のカーリンは、ストックホルム王立美術学校を卒業し、フランス留学中にカールと婚約し、結婚。長い間、子育てで絵筆を置いていたというカーリンですが、リッラ・ヒュットネースでカールや子供たちと暮らすようになってから、彼女の眠っていた才能が花開きました。
ダーラナ地方の伝統的な織物や編物のテキスタイルを学び、伝統模様を残しつつも、色鮮やかでモダンなインテリアに生まれ変わらせました。
庭のガーデニングも、カーリンの手によるもの。この時代、英国式のガーデニングスタイルは、最も新しい庭づくり手法だったそう。

8人の子供に恵まれたラーション夫妻。子供たちも森や湖で遊び、のびやかに育ったことでしょう。
スウェーデンの童話作家アストリッド・リンドグレーン〈Astrid Lindgren〉は、『やかまし村の子どもたち』〈Alla vi barn i Bullerbyn〉を書くとき、カール・ラーション家族とリッラ・ヒュットネースからヒントを得たといいます。

カール・ラーション・ゴーデン 記念館

カール・ラーションとカーリン・ラーションがつくった家、リッラ・ヒュットネースは現在、カール・ラーション・ゴーデン〈Carl Larsson-gården〉記念館になっていて、ガイドツアーで中を見学できます (※館内は撮影禁止)
ガイドツアーは英語のみですが、記念館となっているリッラ・ヒュットネースは可愛いミュージアムのような空間で、色鮮やかなデザインと遊び心がちりばめられていて、家族や小さな子供でも楽しめます!
「日本は芸術家としての私の故郷である」と語るほど、日本美術を愛してやまなかったカール・ラーション。記念館では、カール・ラーションが集めた浮世絵や陶磁器など、日本の美術工芸品のコレクションを見ることもできます。
それからガイドさんが着ていたパステルカラーのストライプのドレスが素敵でした。これは妻カーリンがデザインした子供たちの洋服なのだとか。
ミュージアムショップも画集やグッズなど可愛いものがいっぱい!画家になって絵を描くワークショップもあるそう。


白い桟橋のかかる湖や自然が美しくて、 ほんとうに夢のような家。
リッラ・ヒュットネースを覗いて感じたのは、 カール・ラーションは偉大な画家というよりも、いつも子供たちを喜ばせたくて絵を描く、おちゃめでユーモラスなやさしいパパ。そんな一面が垣間見えた。
でもそこに、カール・ラーションの芸術家としての信念と、家族の姿がある。


「私が探し求めたのは
 名誉ではなく、愛なのだ」

(カール・ラーションの自伝『わたくし』より)

Carl Larsson-gården

Falun, Dalarna|Sweden

カール・ラーション・ゴーデン

アクセス
ストックホルム中央駅から特急電車で約3時間。
ファールン駅〈Falun Centralstatio〉で下車。
駅からはバスの本数が少ないため
タクシーがおすすめ(約15分)

Carl Larsson-gården
www.carllarsson.se



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