Temppeliaukion kirkko

岩の教会 テンペリアウキオ

氷河期から残る天然の岩をくり抜いて造られたというテンペリアウキオ教会〈Temppeliaukion kirkko〉。岩肌がむき出しになった教会の中に一歩足を踏み入れると、天から降り注ぐような神秘的な自然光が祭壇を照らします。
世界でも類を見ない岩の教会にさす「天使の梯子」のような光。
ヘルシンキの人びとにとって、テンペリアウキオ教会で結婚式を挙げることは「夢」なのだとか。

2013 Photo & Text_Scandinavian fika.

Temppeliaukion kirkko

テンペリアウキオ教会

ヘルシンキ中央駅から2番トラムに乗って、Sammonkatu 駅で降りてすぐ。閑静な住宅街の真ん中に、別名「ロックチャーチ」と呼ばれるテンペリアウキオ教会〈Temppeliaukion kirkko〉があります。
フィンランドの地形は氷河期に形づくられたものだとか。森と湖だけでなく、氷河期から残る大きな岩山もフィンランドにとって大切な自然のひとつ。「できるがぎり自然の岩を残す」というテーマでつくられたこの教会は、1961年にティモ&トゥオモ・スオマライネン兄弟によって設計され、1969年に完成しました。
地面から突き出した岩をくりぬいて造ったテンペリアウキオ教会の壁は岩肌がむき出しになっていて、花崗岩の粒子がきらきら光り、つやめいて美しい。ドームでおおわれた天井には直径24m銅板があり、そのまわりには180枚の天窓のガラスが張られています。「太陽」をあらわす銅板と天窓からこぼれる自然の光は、教会の中を明るく照らすだけでなく、神聖で、美しい岩肌ようなきらめきを、私たちにもたらしてくれます。

Temppeliaukion kirkko

光につつまれて

世界にふたつとない、岩の教会テンペリアウキオ。フィンランドの旅を振り返っている今、思い出す光景は、テンペリアウキオの「光」です。ここは自分にとって「岩」の教会というよりも、むしろ「光」の教会なのです。それくらい天窓からさす自然光が神秘的で、ひとときの静寂の中、光につつまれているようでした。華美な装飾が一切ない岩肌がむき出しの教会で、その光と影が、フィンランド建築の素晴らしさを映し出していました。
教会の中央には、花崗岩をカットしたささやかな祭壇と小さな十字架があります。1000席ほどのパープルの座席の横には、大きな金色のパイプオルガン。削り出したむき出しの岩肌を残したことで独特の音響効果を得られ、パイプオルガンのコンサートでは美しい音色を聴くことができるそうです。
市民にとって憧れのテンペリアウキオ教会では、週末に結婚式もひらかれています。日本人の方で海外ウェディングを挙げられたご夫妻もいらっしゃって、ほほえましくなりました。

ロックチャーチ

「ロックチャーチ」と呼ばれるテンペリアウキオ教会は、外から見るととても教会とは思えません。ヨーロッパの教会というと、バロック様式の高い塔が築かれているものをイメージしますが、この教会は天然の小さな岩山を10mくり抜いて地下に造られています。
トラムの駅から徒歩数分ですが、教会の入口に気がつかなくて、初めは通り過ぎてしまいました。 10時前に到着してオープンを待っていると、黒のラブラドールを散歩しているお姉さんが、神聖な教会の岩山を登っていくではありませんか!登っていいのか迷いましたが、ラブの後に続くようにこっそり岩の階段を登ってみました。
……気持ちいい!なかなかの景観。外観のドームも近くで見れていいなーと思っていると、私のあとに続いて、遅れてやってきた観光客がぞろぞろと登ってくるではありませんか!もう、みんな岩山でパシャパシャ記念撮影。まずい、まずい、まずい!係の人に怒られる前にさっさと降りねば!とひとりパニック状態でしたが……教会の岩山、登ってもまったく問題ないそうです。時間があったら、ぜひ「ロックチャーチ」の岩山に登ってみてください。

Temppeliaukion kirkko

Helsinki|Finland

テンペリアウキオ教会

アクセス
中央駅近くの〈Lasipalatsi〉駅から
1番・2番トラムに乗って約5分。
Sammonkatu 駅で下車。

Temppeliaukion kirkko
temppeliaukionkirkko.fi


Myyrmäen kirkko

ミュールマキ教会

ユハ・レイヴィスカ 光の教会


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